2025/04/17

降雪機を止めないオートストレーナ|スキー場設備のプロが実証

降雪機を止めないオートストレーナ|スキー場設備のプロが実証

1.代理店視点で見るボールフィルターの降雪システムへの導入効果

全国のスキー場に最新の機器・設備を提供するスノー・シズテムズ。アメリカのSMI社や、イタリアのテクノアルピン社の人工降雪機などを取り扱い、スキー場への最新のテクノロジー導入とサポートを行っています。ボールフィルターがどのように降雪機の効果を最大化しているのか、詳しくお話を伺いました。

スノーシステムズスノーシステムズ株式会社
技術サービス2部部長 成田征之介 様

 

2.スキー場を悩ませる、降雪機の水源とフィルタリング

「人工降雪機は、自然環境や物理現象を利用して人工的に雪を作る装置です。降雪機は大気中に水と圧縮空気を放出し、自然界の力を借りて氷の粒を作り出します。
降雪機に使用される水は、主に自然の河川から引き込みます。近くに河川がない場合は、溜池や離れた河川からポンプで送水します。水道水を使用するケースや、井戸水を水源にすることもありますが、共に水温が高くなりがちなので、多くの場合は河川水を利用するわけです。
一方で、河川水には葉っぱや石、砂、泥などのゴミが多く含まれているため、何らかのフィルタリングシステムを使用しています。このフィルターが詰まると、洗浄や交換の度に降雪機をストップしなくてはいけなくなり、清掃や交換に人手がかかっていました。フィルタリングについての問題は多くのスキー場が共通して抱えており、効果的な解決策が求められていたのです」

3.ボールフィルターのろ過効果を日本の環境で実証

「もともと、ボールフィルターはドイツ本国でヨーロッパの人工降雪機メーカーと提携していました。ヨーロッパの各スキー場では人工降雪機の設備にボールフィルターのオートストレーナを導入しており、従来手動で行なっていた洗浄や交換作業を自動化していたのです。
ヨーロッパの成功事例を知って、私たちもボールフィルターに注目しました。特にイタリアのテクノアルピン社とのタイアップを見て、日本でも同様の課題を抱えるお客様が多いことに気付きました。ただし、ヨーロッパでの成功例をそのまま日本に持ち込んでも、同様の効果を得られる保証はありません。国内のスキー場の環境は一つとして同じではないため、慎重にテストを行う必要がありました。最初に導入を試みたのは、長野県のスキー場でした」

4.長野、奥伊吹での成功事例から日本市場へ導入

「最初に導入した長野のスキー場では、針葉樹が主なゴミとなっていました。これが問題で、通常のフィルターだと針状のゴミがすり抜けてしまう。ところが、ボールフィルターはこれを堰き止め、かつ自動的に繰り返し洗浄しながら運転することが可能だと実証できました。
この結果を得たことで、グランスノー奥伊吹の草野社長に興味を持っていただきました。草野社長を長野にお招きし、実際の状況を見ていただいた上で、何度も打ち合わせを重ね、導入効果が期待できるという結論に至ったんです。奥伊吹で効果が確認できれば、日本の環境でも多くのスキー場で役立つ確信をしていましたので、自信をもって市場への導入を進めました。
その過程で実は日本にも会社があって、メンテナンスも行っていることが判明。これを機にボールフィルタージャパンとサービスを含めた協力関係を築くことができました」

5.目詰まりせず十分な水量をポンプに送り、降雪機の効果を最大

「降雪の際に一番問題になるのは、葉っぱや砂などのゴミが、ポンプに送られる水をろ過するためのフィルターに詰まることです。フィルターが詰まると、水の通過が悪くなり、降雪機に供給できる水の勢いが減少します。最悪の場合、水が降雪機に到達しなくなり、その結果、降雪機での噴霧ができず、雪を作ることができなくなります。また、水の勢いが弱まると降雪機に影響が出るのは、降雪機側の問題も関係しています。降雪機は、ヘアスプレーのように強い圧力で水の粒子を細かく霧状にして大気に放出しています。そのため、適切な水圧が不可欠です。フィルターの汚れをしっかりし除去し、目詰まり防ぎ、必要な水量をポンプに送り続けることが重要なのです。その点、ボールフィルターのオートストレーナは、フィルターの自動洗浄機能を備えているため、目詰まりがなく安心です」

6.降雪システムにボールフィルターは欠かせない存在

「人工降雪機が水を雪に変えるには、気温がマイナスまで下がる必要があります。そのため、降雪機は基本的に気温の低い夜間にしか稼働しません。限られた時間の中で効率よく雪を作るためには、できるだけ連続して運転することが重要です。特に夜間の作業はわずか8時間しかありません。その間に降雪機を一度停止してフィルターを交換すると、作業には1時間から1時間半かかり、その間は雪を作ることができなくなり、生産できる雪の量は減少してしまいます。
この影響は一台の降雪機に留まらず、全台数や複数日にわたって連続することで、スキー場に必要な雪の製造量に大きな影響を与えます。温暖化の影響や地域性によって積雪量はおきな課題になっていますから、最悪の場合、スキー場のオープン自体を脅かすことにもなりかねません。
だからこそ、可能な限り降雪機を止めないことが重要になるんです。
自動洗浄機能を備えたボールフィルターの導入は、連続運転を可能にし、効率的に雪を生産することにつながりまる。現代のスキー場の運営に、ボールフィルターは欠かせない存在なのです」

 

スノーシステムズ株式会社
http://www.snowsystems.co.jp